AI・DX開発を手がける株式会社Beekle(本社:東京都大田区、代表取締役:鶴岡 邦夫)は、2026年10月、オープンソースのベクトルデータベース「Milvus」の開発元であるZilliz Inc.と、Zilliz Cloudに関するパートナー契約を締結した。Beekleはこれまで、AI検索・RAGや業務システムを本番環境で開発・運用してきた。今回の契約により、その過程で培った経験とノウハウに、検索基盤の開発元であるZillizの技術的知見と支援が加わる。これによってAIシステムの検証から本番運用までを、より確かな品質で提供できる体制を強化する。

「試したけれど本番では使えない」をなくすために
社内文書の検索や問い合わせ対応など、AIを業務で活用するには、社内の資料から必要な情報を正しく取り出せることが欠かせない。あわせて、その根拠を確認できる状態にしておくことも必須となる。さらに、デモでは問題なく動いても、運用面でつまずくケースも想定しておく必要がある。具体的には、データ量が増えたときの速度、閲覧権限の管理、データの更新といった点だ。
Beekleは、これまでの開発・運用を通じてこうした課題に取り組んできた。今回、AI検索を支えるベクトルデータベースの開発元と直接連携することで、自社の経験を開発元の知見で裏付ける。そのうえで、検証の段階から本番運用の課題をより確実に織り込めるようにする。
初期費用0円で作って試す「ゼロスタート」
Beekleは株式会社テックビーンズ(D-POPS GROUP)と共同で「ゼロスタート」を提供している。初期費用0円で対象業務のコア機能を実際に作り、顧客のデータで業務に使えるかを検証したうえで、本開発に進むかを判断できるサービスだ。これまでに10社以上が利用している。例えば社内文書のAI検索であれば、実際の資料と日常業務で寄せられる質問を使い、次のような点を確認する。
- 質問に対して、必要な資料や情報を見つけられるか
- 回答の根拠となる原文や出典を確認できるか
- 情報が不足する質問や、誤った資料を参照するのはどのようなケースか
- 現場の担当者が、日常業務の中で使えるか
着手前には秘密保持契約(NDA)を締結し、使用するデータ、実装する機能、検証期間について合意する。合わない場合は、デモの段階で開発費用なしに終了できる。
有償開発の費用は、小さな範囲で100万円から、PoCから本番運用までで300万〜600万円(いずれも税別)が目安となる。対象業務と連携範囲に応じて個別に見積もり、クラウド・APIなどの外部サービス利用料は別途かかる。
パートナー契約で顧客にとって変わること
今回の契約によって顧客にとって変わる点として、Beekleは次の3つを挙げている。
- 検索の精度と速さを、より確かな根拠で設計:これまでの開発・運用で培った設計に、開発元の技術知見を掛け合わせる。データの種類や量、セキュリティ要件、予算に合わせた検索基盤の構成を、ゼロスタートの段階から本番を想定して検証できる。
- 開発元のレビューとサポートで、本番運用をさらに安心に:Beekleは開発元であるZillizから技術支援を受けられる体制を整えた。案件に応じてこれを活用し、Beekleの運用経験に開発元の視点を重ねる。具体的な支援範囲・条件は案件ごとに確認・合意する。
- スピードを支える社内の開発基盤:Beekleは、要望の整理から仕様化、AIによる開発、進捗管理までを自動化した自社の開発基盤「PM on Rails」を日々の開発で使っている。これにより、スピードを落とさずに開発を進めるノウハウを社内に蓄積してきた。この基盤でもMilvusを活用しており、自社で培った実践知を顧客のシステムにも生かす。
代表取締役の鶴岡邦夫氏は「AIの導入は、実際に動くものを見ないと判断できません。ゼロスタートは、お客様に納得してから開発を進めていただくためのサービスです」と語る。さらに「Milvusの開発元であるZillizという強力なパートナーを得たことで、私たちがもともと取り組んできたAI・DXのソリューションを、さらに洗練させることができます。試せることの幅を広げ、検証から本番まで安心して任せていただけるシステムを届けていきます」とコメントしている。
Zillizは、世界で最も広く使われているオープンソースのベクトルデータベース「Milvus」の開発元だ。本番環境での導入企業は1万社以上にのぼり、生成AI・RAG・AIエージェントの検索とデータ基盤を支えている。マネージドサービス「Zilliz Cloud」は、数十億件規模のデータでも高速かつ低コストな検索を実現する。東京リージョンではAWS・Google Cloud・Azureの3クラウドすべてに対応しており、BYOC(Bring Your Own Cloud)にも対応しているため、データを国内に保持したまま利用できる。一方のBeekleは2023年2月1日に設立された。業務や課題の整理から要件定義、設計・開発、運用までを支援するAI・DX開発会社で、AI検索・RAG、AIエージェント、業務システムを手がけている。
出典:株式会社Beekle